RI会長挨拶


2023-24年度国際ロータリー会長
ゴードン R. マッキナリー
テーマ「Create Hope in the World/世界に希望を生み出そう」

エディンバラの王立高校とダンディー大学で学び、口腔外科の大学 院学位を取得。 2016 年までエディンバラで自身の歯科医院を経営。英国小児歯科 学協会のスコットランド東部支部会長を務めたほか、さまざまな教育的役職を歴任。また、長老会の リーダー、クイーンズフェリー教区会衆派教会理事会の会長、スコットランド国教会総会のコミッショナーも務めた。 1984 年、26 歳でロータリーに入会。South Queensferry(サウス‧クイーンズフェリー)ロータリークラブ に所属し、グレートブリテンおよびアイルランドの国際ロータリー(RIBI)の会長と副会長、RI の理事と 委員会メンバー(2022 年ヒューストン国際大会委員会アドバイザー、運営審査委員長など)を務めた。 新しいロータリークラブやグループを築くために会員と協力できるのを楽しみにしており、「私のビジョンは、ロータリーの仲間になりたいと思うすべての人、世界でよいことをしたいと願うすべての人が、 それぞれに合った方法でどこででも参加できるロータリーとなること」と話す。 英国を拠点とする非営利団体「ホープ‧アンド‧ホーム‧フォー‧チルドレン」の後援者であり、同団体とRIBI とのパートナーシップを先導して、ルワンダ大虐殺によって孤児となった子どもたちを支援。開発 途上国の人びとや家族、ビジネスに持続可能な人道支援を提供する Grantham Kesteven ロータリー クラブ(英国リンカンシャー)のイニシアチブ「Trade-Aid」も後援しているほか、国立の精神保健機関で ある Bipolar UK のアンバサダーを務めている。 趣味はラグビー、グルメとワイン、スコットランドの伝統的な杖づくり。 ロータリー財団は「ロータリーの奉仕を動かす燃料」であるとし、妻ヘザーさん(ロータリアン)とともに ポール‧ハリス‧フェロー、メジャードナー、ロータリー財団のベネファクター、遺贈友の会会員となって いる。 孫娘たち(アイビーさん、フロレンスさん)が幸せに暮らせるより良い世界をつくるために、会長として 全力を捧げたいと考えている。

2023-24年度2700地区ガバナー

吉田知弘

メッセージ「ロータリーを開き、ロータリーを前進させよう」

  •  RI会長テーマから導かれるもの

 RI会長エレクトのテーマ講演では、ウクライナの戦禍や疫病(コロナ禍)等の災厄により、あるいは個人的な事情により、心身に深い傷を負った人々の心に寄り添い、希望をもたらすことに特に注目することが示されました。その一方で、その目的を達成するための活動の組立て方に関して、ロータリーのビジョン声明や行動計画に則した実践が重要であること、DEIの理念に則したオープンでインクルーシブな環境の醸成など、従来重視されてきた方針を引き続き重視することが示されております。われわれは、クラブの内外において「持続可能なよい変化をもたらす」ために何ができるかを考えかつ実践することが重要であり、この地道な実践を通じて初めて「世界に希望を生み出す」ことができるものと理解しなくてはなりません。

  •  ビジョン声明と行動計画を理解する

 ⒜ ロータリーにとって最も重要なリソース(人的物的資源)が個々のクラブの活力にあることは多論を要しません。当地区がかねて進めてきた「CLP推進」の方針も、その最終的な目的はクラブの活力を維持・増進させることにあり、そのために何をすべきか、何ができるのかを 真摯に考えることが重要です。そして、そのための最も重要なキーワードがビジョン声明と行 動計画の中に示されております。 <ビジョン声明>「私たちは、世界で、地域社会で、そして自分自身の中で、持続可能なよい変化を生むために、 人々が手を取り合って行動する世界を目指しています。」 <行動計画> ① より大きなインパクトをもたらす ② 参加者の基盤を広げる ③ 参加者の積極的なかかわりを促す ④ 適応力を高める ⒝ ここでは、「持続可能なよい変化」というキーワードに注目する必要があります。実は、行動計画の①にある「インパクト」という言葉も、「ロータリーの行動によってもたらされるポジティブで長期的な変化」のことであると定義されており、ビジョン声明に示された持続可能性の考え方とリンクしていることを知る必要があります。どれほど「大掛かりで派手」なプロジェクトを行っても、どれほど「衝撃的」なイベントであっても、それが「ポジティブで長期的な 変化」をもたらすものでない限り、「インパクト」はないことになります。 ロータリーが「持続可能なよい変化」を生むためには、その基礎となるクラブが活動の母体として「持続可能」なものである必要がある、ここが全てのスタートラインとなり、同時にゴ ールともなります。ロータリーの4つの行動計画は、そのための指針を示したものであり、特別なことが書かれているわけではないことを、今一度確認する必要があるでしょう。 ⒞ クラブの持続可能性が担保されることは、われわれが大切にしてきた伝統的で良心的な価値観を次世代へと伝承していくための不可欠の前提となります。この価値観は、「4つのテスト」として、また、「中核的価値観(親睦・奉仕・高潔性・多様性・リーダーシップ)」として、ロータリーの中に大切に伝承されています。

  •  ロータリーを開き、ロータリーを前進させる

 私たちロータリーは、それぞれのロータリークラブごとに、その持続可能性を維持し、次世代へとクラブを継承する責任があります。そのためには、クラブの次代を担う新会員の加入を促し、ロータリアンとしての成長を促し、次世代のリーダーへと成長させることが欠かせず、そのための不断の努力を必要とします。 また、クラブが瑞々しい活動を続けるためには、その活動そのものが社会に必要とされ、魅力的なものとして社会のニーズを吸引する存在であることも欠かせません。クラブがそのような魅力ある活動を続けることが、巡り巡って新会員の加入を促し、親睦の礎となってクラブの活力の保持に貢献することも忘れてはなりません。もし、クラブの活動が停滞し会員数が減少し、そのために更に活動が停滞するという悪循環に陥っているクラブがあるとすれば、そのクラブの閉鎖性が活性化の障害となっていないかを顧みる必要があります。クラブが活力を取り戻すための視点として、行動計画に示された4つの視点を振り返ってみれば、ここに活性化のヒントが示されていることを理解できるでしょう。産業構造や社会経済の構造が、急速にかつ劇的に変化してゆく現在の社会において、ひとりロータリーだけがその環境の変化から自由であるはずがありません。変化する環境に適応し、クラブを保持してロータリーとロータリーの価値を次世代へと継承するために何をすべきか、我々は知恵を絞る必要があります。社会構造の変化にもかかわらずクラブを強く瑞々しく保つためには、クラブの開放性を高める必要があります。開放性が高まれば、環境の変化は自ずとクラブの中に取り込まれ、クラブの活力が増すことでしょう。そのためには、クラブの在り方としても多様なバリエーションがあり得ることを承認し、固定観念に囚われて試行錯誤を妨げないことがすこぶる重要です。間違ってもかまいません。やり直せばよいからです。クラブの停滞を克服するために招き入れる変化を恐れる必要はありません。この変化はロータリーを前進させることであり、ポジティブに評価することができるはずです。これが「ロータリーを開き、ロータリーを前進させる」ことの本意です。